次世代型革新高出力蓄電池
「金属触媒フリーリチウム空気電池」の開発

伊藤 良一
(東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR) 助教、現在、筑波大学 数理物質系 准教授

2019年7月25日木曜日

第8回新化学技術研究奨励賞受賞

(公社)新化学技術推進協会(JACI)は「産学官交流連携活動の一環として、化学産業界が必要とする研究課題を設定し、その実現に貢献することができる若手研究者の独創的な萌芽的研究テーマを発掘・奨励するために、新化学技術研究奨励賞」(引用)を設けている協会であり、今回大変名誉ある第8回新化学技術研究奨励賞を頂くことができました。審査して頂いた審査委員並びに協会関係者の皆様には深く感謝を申し上げます。特に、第7回新化学技術研究奨励賞を応募した時に、何故落選したのか、どうすれば技術進歩するのかなどコメントが大変励みとなり、今回の第8回新化学技術研究奨励賞受賞へ繋がったと考えており大変感謝しております。本賞は今後発展が期待される可能性がある研究課題に対する賞ということで、本賞を頂いたことを励みに今後も一層精進していきたいと考えています。


伊藤良一

2019年6月21日金曜日

太陽光を用いて含水バイオマスを濃縮し同時に純水製造する技術 プレスリリース

筑波大学藻類バイオマス・エネルギーシステム開発研究センター イスデプスキーアンドレアス研究員と渡邉信センター長らの研究グループと共同研究を行い、これまで困難であった太陽光を用いた含水バイオマス濃縮技術と純水製造を同時に実現する蒸発促進材料を開発しました。今回作製した、階層構造を持つグラフェンを用いることで、再生可能な太陽エネルギーによって、含水バイオマスから水分を除去するのと同時に純水を製造できることから、これまで海水の淡水化などで純水を確保する選択肢以外に、藻類やその他濃縮が必要な含水バイオマスからも純水を製造しつつ、バイオマス燃料や肥料の生産を可能にする、新たなカーボンニュートラル実現に向けた有効な選択肢を提示できると期待しています。



図 (a)一般的な藻類含水バイオマスの脱水・乾燥工程、(b)太陽光を用いた水蒸発メカニズムと(c)階層構造を持つグラフェン。 (a)藻類含水バイオマスの場合、大きな培養池で培養した後、凝集剤を混ぜて自然沈殿をさせて水分と藻類を分離する。その後、遠心分離機によりさらに分離したのち、機械的に押しつぶして藻類から残りの水分を搾り取る。その後、天日干しによって完全に乾燥させる手順を取る。 (b)マイクロサイズの多孔質グラフェンの場合、上部の表面から水が蒸発していく。毛細管現象によって、表面で蒸発した水分が下部から上部へと輸送されるが、その際、藻類も上部へ移動してしまう。蒸発を繰り返していくと最終的に空焚き状態が発生し、細胞が死滅してしまう問題点があった。一方で、マイクロサイズの多孔質グラフェンの表面に、藻類を加熱させない蒸発機構(低熱伝導度による熱拡散抑制と毛細管現象による水の吸い上げ)を持ち、かつ藻類が入り込めないナノサイズの多孔質グラフェンを接合することで、藻類の移動を物理的にブロックすることが可能となる。これにより、上部で太陽光を集光し、かつ、水のみを集中的加熱できる階層と、水を下部から上部へ輸送する階層を併せ持つ多孔質グラフェンを実現した。


プレスリリース
熱による細胞損傷なく太陽光で含水バイオマスを濃縮する技術を開発 ~階層構造を持つ多孔質グラフェンで水分蒸発を促進する~

原著論文
Damage‐Free Solar Dewatering of Micro‐Algal Concentrates via Multifunctional Hierarchical Porous Graphene
は有料となっています。

伊藤良一

2019年4月4日木曜日

非金属系水素発生触媒論文発表

非金属系触媒である炭素材料(化学ドープグラフェン)に関するJSTさきがけ「エネルギーキャリア」と新学術「次世代物質探索のための離散幾何学」の成果がAdvanced Science誌に掲載されました。炭素材料は白金に代わる触媒になると理論的に言われていますが、その触媒機構は不明瞭で特にどのような原子構造を持つとき触媒能力が向上するかわからない状態でした。その原因の一つに、構造情報は電子顕微鏡などを用いることで詳しく調べることが可能ですが、電気化学測定などによる触媒能力は試料全体を平均化した情報でしか得ることができないため、構造と触媒能力の空間的対応ができないことが一因であるとされていました。そこで、今回、その場構造解析とその場電気化学測定を組み合わせることで窒素などの化学元素がグラフェンのエッジ構造にドープされたとき、エッジ構造が持つ触媒能力はエッジ構造ではない場所の触媒能力と較べて100倍以上増大することが明らかとなりました。これら一連の実験により、炭素系触媒の幾何学構造情報と電気化学性能をナノスケールで対応づけることに成功し、世界で初めてグラフェンのエッジ構造が高い触媒能力を示すことを直接実証しました。
水素発生触媒に関してはJSTさきがけの3年半の研究の終着点であり、炭素触媒の設計指針を明確に示せました。また、そこに離散数学から導かれるグラフェン構造の幾何学的不安定性の解消という数学的な視点を加えることで異元素がグラフェンの格子のどこに取り込まれやすいかを数学的に予測し、実際にエッジ構造に選択的に異元素が取り込まれ取り込まれた異元素が触媒能力を発揮することをさきがけ研究と協同して突き止めました。複数の学問体系を繋いだ学際的論文となり、まとめるのに非常に苦労しましたがとても良い論文に仕上がったと思います。

詳しい内容についてはプレスリリースをご覧ください。
プレスリリースタイトル:グラフェン構造を数学的観点から設計し、その優位性を電気化学イメージングにより初めて実証

論文はオープンアクセスなので無料でこちらから閲覧可能となっています。
Title: Chemical Dopants on Edge of Holey Graphene Accelerate Electrochemical Hydrogen Evolution Reaction

伊藤良一

2019年2月21日木曜日

日経エレクトロニクス誌で研究特集

日経エレクトロニクス2019年3月号でJST-さきがけ研究の集大成である耐腐食性卑金属に関する研究が特集されました。詳しい内容は書けませんが、家庭などをターゲットとした小型水電解装置で用いられる白金電極を腐食しない卑金属電極でどう置き換えるかなど書かれています。他の特集も一読しましたが水素社会に必要な技術がわかりやすく書かれているので興味があれば読んでみてください。

対象研究論文は
Graphene Layer Encapsulation of Non-Noble Metal Nanoparticles as Acid-Stable Hydrogen Evolution Catalysts

Cooperation between holey graphene and NiMo alloy for hydrogen evolution in acidic electrolyte
です。


伊藤良一

2019年2月19日火曜日

筑波大学Best Faculty Member2018選出

2018年度に筑波大学で極めて優れた活動を行ったと認められる教員25名に選出されましてBest Faculty Memberとして表彰されました。筑波大全ての教員の中から選ばれたことは大変名誉であり、大変励みとなりました。永田恭介学長、副学長、系長、新米の私を推薦していただいた教授の方々と選考して頂いた教授の方々にこの場を借りて感謝をいたします。これで終わりとせず、これからも筑波大の教員として優れた活動を続けていきたいと思います。



伊藤良一

2019年2月5日火曜日

Nanotech2019参加報告

1月31日に東京ビックサイトで行われたNanotech2019に参加してきました。今回はさきがけの集大成の発表ということでJSTブースから発表させていただきました。当日は電極メーカーなど方からも興味を持っていただくことができまして参加して大変良かったと感じました。また別件ですが、60歳くらいのおじいちゃんから研究内容とは全く違うことで質問攻めにあい、なんでそんな内容を聞くんですかと聞いたら先生に聞いたほうが確実だからということで即席勉強会(高校基礎化学レベル)のような感じのこともやっていました。いろんな視点を持った人たちと出会えて面白い日となりました。
そして思わぬ再開もありました。なんと私の博士課程指導教官の榎敏明名誉教授(東京工業大学)と同じ時期に榎研に在籍していたインド人のJoseph Joly博士とばったり再開しました。まさかこの会場で会うとは思っておらず、お互い認識するのに間がありましたがお二人とも元気そうで何よりでした。研究者の世界はやはり狭いですね。




伊藤良一

2019年1月11日金曜日

nano tech 2019に参加します

1月30日から2月1日の10時~17時の間で開催されるnano tech 2019に参加します。3年半の研究支援を頂いたさきがけ研究の成果をまとめてJSTブースで発表いたします。私は30日と1日に授業が入っているので31日だけブースにいる予定です。当日は水の電気分解で使用される卑金属電極と耐腐食卑金属電極の紹介をする予定です


伊藤良一