次世代型革新高出力蓄電池
「金属触媒フリーリチウム空気電池」の開発

伊藤 良一
(東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR) 助教、現在、筑波大学 数理物質系 准教授

2016年10月17日月曜日

論文紹介:3次元グラフェントランジスター

 今回、東北大学東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)で研究を進めている3次元ナノ多孔質グラフェンを用いて東北大学大学院理学研究科物理学専攻と東京大学とで共同研究を行い、共同研究者の田邉洋一助教によって高性能な3次元トランジスタの開発に世界で初めて成功しました。2次元グラフェンは空間を維持したまま集積化するのには不得手(電気ショートによる制御できない状態に陥る)であったため、グラフェントランジスタの集積化の手法が問題となっていました。今回開発したトランジスタは3次元で厚みがあり一繋がりに連続したグラフェンを用いることで2次元グラフェントランジスタと比べて最大で1000倍の性能を発揮しました。本論文は炭素材料を用いて3次元デバイスを作製するときのモデルケースとなりえ、3次元グラフェンを用いることで高度集積化が必要な電気デバイスの一つの選択肢になることが期待されています。

研究内容の詳細はこちらからプレスリリースしておりますのでご覧ください。

論文は・・・残念ながら有料公開です。
タイトル
Electric Properties of Dirac Fermions Captured into 3D Nanoporous Graphene Networks


伊藤良一

2016年10月12日水曜日

論文紹介:ナノ多孔質グラフェンの新規作成法

 今回、東北大学東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)で研究を進めている3次元ナノ多孔質グラフェンのナノ粒子を用いたボトムアップ型新規作成法の開発と作製したグラフェンを用いた白金を使用しない水素発生電極に成功しました。

3次元ナノ多孔質グラフェンなどの炭素材料は材料は炭素だけからなるために安いとされていますが、高性能な能力を持たせようとすると作製コストが白金以上に掛かってしまい、トータルとしてみると実は安くないなどといった問題がありました。そこで本研究は多孔質炭素材料を作製するのに必要であった作製工程を簡略化してワンステップで多孔質グラフェンを作製できるような手法の開発を試みました。(詳細はプレスリリース)また、触媒機能を有していない化学的に安定なグラフェンを触媒として使用するために、新しい手法で化学元素ドープを行いました。(詳細はプレスリリース)これにより、従来2次元グラフェンのネックであった触媒能力を2-3倍程度改善することに成功し、大量生産が視野に入った白金を使用しない水素発生電極の開発に繋がりました。現状の本電極は実用化に向けてまだまだ改良が必要ですが、実用的な電極を設計するときにどのようにすれば安く効率的な電極を作製できるかという指針を示しました。今後は、生産能力の高いナノ粒子を用いることでナノ多孔質グラフェンの大量生産へのプロセス開発への挑戦も続けていきたいと思います。

詳細はこちらからプレスリリースしておりますのでご覧ください。

論文は・・・残念ながら有料公開です。
タイトル
Correlation between Chemical Dopants and Topological Defects in Catalytically Active Nanoporous Graphene


付記:本研究はJSTさきがけの支援を受けて実施されました。

伊藤良一

2016年10月9日日曜日

異動&研究室立ち上げ再び

長らく更新をとめていましたがこれには理由がありまして就職活動をしておりました。また、WPIプログラム最終年度の拠点視察と重なり(英語での口頭発表担当)、中国出張や国内出張連発(週2回)と学会発表シーズンとで非常に忙しくしていました。その後、異動に伴う書類に追われて実験も出来ない状態で引越し準備をしていました。

2年前から続いた就職活動もようやく決着がつきましたのでご報告します。11月1日付けで筑波大学准教授職を無事得ることが出来ました。この准教授職は、教授と連携して講義を持ち、学生を教育し、研究室を運営する一般的な准教授です。また、任期はありませんので失職を気にせず、教育・研究活動に専念できる非常に恵まれたポジションを頂くことが出来ました。前回の職もそうでしたが今回の職も色々な人からの支援があり巡り合った幸運の積み重ねの結果得ることが出来たと私は感じています。

今年4月に東北大学で准教授に昇進させて頂いたのにも関わらず、7ヶ月間で転出というお世話になった方に対して心苦しい思いを胸に抱きつつ、感謝の気持ちと人の繋がりを大切にしながら新しい職場でこれからも前向きに進みます。
そして、新しい職場で今年2回目の研究室立ち上げが始まります・・・。


伊藤良一