次世代型革新高出力蓄電池
「金属触媒フリーリチウム空気電池」の開発

伊藤 良一
(東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR) 助教、現在、筑波大学 数理物質系 准教授

2016年12月26日月曜日

東北大学でのお別れ会

東北大で最後(?)になるであろう全メンバーが集合する機会がありました。今回は日ごろ頑張っている学生さんやお世話になっている人達と最後の東北大での楽しいひととき過ごしました。皆さん4年間大変お世話になりました。



WPI小谷元子機構長を囲む会
若手研究者から誕生日プレゼントを渡しました。



陳研究室の学生の皆さんと忘年会
今年の3月まで所属していた研究室です。


伊藤研のメンバーと事務職員さんとのピザパーティー
一年という短い時間で解散してしまいましたが1年間ありがとうございました。


伊藤良一

2016年11月2日水曜日

筑波大学着任1日目

11月1日に筑波大学数理物質系准教授(任期無し)に着任をいたしました。
今年の4月に東北大で研究室を立ち上げ、また今年の11月から再度研究室を筑波大で立ち上げと忙しい年になってしまいましたが、心機一転筑波大学の教員として教育と研究活動に力を注いでいきたいと思います。


さっぱりとした居室。この風景を見たのは今年2回目です。

伊藤良一

2016年10月17日月曜日

論文紹介:3次元グラフェントランジスター

 今回、東北大学東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)で研究を進めている3次元ナノ多孔質グラフェンを用いて東北大学大学院理学研究科物理学専攻と東京大学とで共同研究を行い、共同研究者の田邉洋一助教によって高性能な3次元トランジスタの開発に世界で初めて成功しました。2次元グラフェンは空間を維持したまま集積化するのには不得手(電気ショートによる制御できない状態に陥る)であったため、グラフェントランジスタの集積化の手法が問題となっていました。今回開発したトランジスタは3次元で厚みがあり一繋がりに連続したグラフェンを用いることで2次元グラフェントランジスタと比べて最大で1000倍の性能を発揮しました。本論文は炭素材料を用いて3次元デバイスを作製するときのモデルケースとなりえ、3次元グラフェンを用いることで高度集積化が必要な電気デバイスの一つの選択肢になることが期待されています。

研究内容の詳細はこちらからプレスリリースしておりますのでご覧ください。

論文は・・・残念ながら有料公開です。
タイトル
Electric Properties of Dirac Fermions Captured into 3D Nanoporous Graphene Networks


伊藤良一

2016年10月12日水曜日

論文紹介:ナノ多孔質グラフェンの新規作成法

 今回、東北大学東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)で研究を進めている3次元ナノ多孔質グラフェンのナノ粒子を用いたボトムアップ型新規作成法の開発と作製したグラフェンを用いた白金を使用しない水素発生電極に成功しました。

3次元ナノ多孔質グラフェンなどの炭素材料は材料は炭素だけからなるために安いとされていますが、高性能な能力を持たせようとすると作製コストが白金以上に掛かってしまい、トータルとしてみると実は安くないなどといった問題がありました。そこで本研究は多孔質炭素材料を作製するのに必要であった作製工程を簡略化してワンステップで多孔質グラフェンを作製できるような手法の開発を試みました。(詳細はプレスリリース)また、触媒機能を有していない化学的に安定なグラフェンを触媒として使用するために、新しい手法で化学元素ドープを行いました。(詳細はプレスリリース)これにより、従来2次元グラフェンのネックであった触媒能力を2-3倍程度改善することに成功し、大量生産が視野に入った白金を使用しない水素発生電極の開発に繋がりました。現状の本電極は実用化に向けてまだまだ改良が必要ですが、実用的な電極を設計するときにどのようにすれば安く効率的な電極を作製できるかという指針を示しました。今後は、生産能力の高いナノ粒子を用いることでナノ多孔質グラフェンの大量生産へのプロセス開発への挑戦も続けていきたいと思います。

詳細はこちらからプレスリリースしておりますのでご覧ください。

論文は・・・残念ながら有料公開です。
タイトル
Correlation between Chemical Dopants and Topological Defects in Catalytically Active Nanoporous Graphene


付記:本研究はJSTさきがけの支援を受けて実施されました。

伊藤良一

2016年10月9日日曜日

異動&研究室立ち上げ再び

長らく更新をとめていましたがこれには理由がありまして就職活動をしておりました。また、WPIプログラム最終年度の拠点視察と重なり(英語での口頭発表担当)、中国出張や国内出張連発(週2回)と学会発表シーズンとで非常に忙しくしていました。その後、異動に伴う書類に追われて実験も出来ない状態で引越し準備をしていました。

2年前から続いた就職活動もようやく決着がつきましたのでご報告します。11月1日付けで筑波大学准教授職を無事得ることが出来ました。この准教授職は、教授と連携して講義を持ち、学生を教育し、研究室を運営する一般的な准教授です。また、任期はありませんので失職を気にせず、教育・研究活動に専念できる非常に恵まれたポジションを頂くことが出来ました。前回の職もそうでしたが今回の職も色々な人からの支援があり巡り合った幸運の積み重ねの結果得ることが出来たと私は感じています。

今年4月に東北大学で准教授に昇進させて頂いたのにも関わらず、7ヶ月間で転出というお世話になった方に対して心苦しい思いを胸に抱きつつ、感謝の気持ちと人の繋がりを大切にしながら新しい職場でこれからも前向きに進みます。
そして、新しい職場で今年2回目の研究室立ち上げが始まります・・・。


伊藤良一

2016年7月28日木曜日

初中国出張 外国の研究所に研究所の紹介

9月17日~19日に中国の南京理工大学格莱特纳米科技研究所(英語名:HerbertGleiter Institute of Nanoscience (HGI))という研究所に私が所属している研究所の紹介と共同研究の可能性を模索するために研究所の若手代表として参加をしました。Herbert Gleiter教授というものすごい有名な方が所長を勤める研究所で金属ガラスという特殊な金属(ゴルフボールが一番よく飛ぶ特殊素材)を精力的に研究をしている最先端の研究施設でした。その方を前にお互いの研究所の研究内容や意見交換などを行いました。



ここからは研究所以外の写真です。

成田南京の唯一の直行便を持っている中国東方航空
機内とサービスは・・・ですが、成田から4時間で南京で移動時間短縮で圧倒的に便利。


南京で英語が通じるホテル

部屋も水周りもとても綺麗でした。

南京は曇っていませんでした。

大学です。あちらこちら工事が行われて建設ラッシュでした。

ザリガニの尻尾料理!!!!尻尾以外は食べれないみたいです。

大学の様子

大学の様子

まっすぐ育たずみんな割れています。なぜ?

大学の様子

青島ビール。薄味でした。

二人の利用バイク。

おれお?

よく分からない種入りお湯。気に入りました。

空港で見つけたパンダお土産

伊藤良一

2016年6月24日金曜日

AIMRでの表彰

しばらくぶりの更新です。
独立後相当忙しかったのとこれといったネタがなかったので更新が滞りました。
本日東北大学AIMRから研究を頑張ったということで表彰していただきました。
隣にいらっしゃる美しい方がAIMR研究所の小谷元子機構長です。



伊藤良一

2016年4月8日金曜日

助成金収支報告

公益財団法人国際科学技術財団から頂いた研究助成金100万円の収支報告をします。

充放電装置の増設パーツ・・・50万円
ピラニー真空ゲージ・・・8万円
金属フランジ・・・5万円
石英管・・・5万円
試薬・・・5万円
グリースレス真空バルブ・・・4万円
高純度アルゴン2本・・・3万円
真空ポンプオイル・・・2万円
H型スタンド2個・・・1万円
消耗品・・・10万円
テクニカルセンター使用料・・・7万円

貴重な助成金を頂きましてありがとうございました。
願わくば財団の皆様に「国際日本賞」で再会できればと思います!

伊藤良一

2016年4月4日月曜日

第10回PCCP Prize受賞式典

日本化学会第96春季年会、同志社大学で開催された第10回PCCP Prize受賞式典の様子です。審査員、受賞者、昔の研究仲間と楽しい時間を過ごさせていただきありがとうございました!また今回の受賞者3人はなんと全て分子科学研究所(分子研)関係者でした。






伊藤良一

2016年3月22日火曜日

読売新聞掲載 3月10日

国立研究開発法人科学技術振興機構(CRESTプロジェクト)の支援を受けて我々の研究室で行っている研究「リチウム空気電池」が読売新聞夕刊に掲載されました。科学欄で「次世代電池 工業界発展の鍵」という見出しで掲載されており、我々が研究しているリチウム空気は未来の有望株の一つと説明して頂きました。実用化にはまだ10年以上の月日が必要ですが、電気自動車への搭載を目指して研究を進めていきたいと思います。

今回、昨年の12月31日に東京からわざわざインタビューにお越し頂き、わかりやすい記事を書いて頂いた江村記者に御礼申し上げます。
記事の写真



伊藤良一

2016年3月16日水曜日

研究室立ち上げ1日目

居室と実験室を割り振られましたので研究室の立ち上げを始めました。実験室を頂いた時点ではこのようなドラフト、実験台とガスボンベスタンドが一つあるような状態でした。


しかし、通常実験室立ち上げは何も無いのが当たり前で、今回即使える設備があったのは同研究所中嶋健教授(現東工大教授)のご好意で設備の引継ぎを行えたからです。特にドラフトは注文から設置まで数百万単位の費用がかかり使える状態になるまで1ヶ月以上かかります。駆け出しの私にこれ以上のないプレゼントとなりました。中嶋教授とAIMRには感謝の言葉もありません。



この状態から今年度購入した実験装置の搬入しました。私一人しかメンバーがいないため、途中で力尽き、開封すらしていません。明日以降はセットアップを開始したいと思います。


伊藤良一

2016年3月1日火曜日

東北大学准教授昇進

研究関係者以外にはあまり馴染みがないと思いますが、今回、文部科学省が推進している世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の研究拠点の1つである東北大学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)は「World Premier Status」という非常に高い評価を得て2017年3月をもって満期終了と決定しました。この決定を持ってWPI研究拠点に所属していた研究者・事務員たちはWPIプログラムで得た経験を生かすために次の活躍の場を求めて就職活動を開始しました。
私が所属している東北大学WPI-AIMRでは優秀な研究者が教授や准教授として東北大学以外の国立大学に栄転を決めており、WPIプログラムの戦略目標の一つである「頭脳循環」が着実に行われています。私もそれに続くためにWPI拠点で得られた経験と成果を携えて次のステップに移るために2015年後半から就職活動を行い、あちこちの大学の公募を出しては落ちを繰り返していました。
そんな苦戦をしている中、教授会にて私の雇用契約内容の更新が承認され、独立研究者というポジションを用意してくれるという話になりました。詳細は省きますが、来年度も現在所属している東北大学WPI-AIMRで独立研究室を運営しながら研究を続けることになりました。あくまでもWPIプログラム終了に伴う暫定的な救済措置ということで良い就職先が見つかり次第転出という約束です。そのようなわけで2016年もいろいろな人の助けを借り勉強をさせてもらいながらながら前向きに研究も就活も頑張ります。


伊藤良一

2016年2月25日木曜日

コンピューターおばあちゃん 作詞/作曲伊藤良一

最近同僚や関係者から問い合わせがあります。
伊藤良一で検索すると上位にヒットする「コンピューターおばあちゃん」って何ですか?
私も知りません。
ということで調べました。

コンピューターおばあちゃん 1984年
うた 酒井司優子
作詞/作曲 伊藤良一
ウィキペディア

要点をまとめるとNHKの番組『みんなのうた』の人気曲で繰り返し再放送されているそうで作詞/作曲の方が私と同姓同名でした。

伊藤良一

2016年2月12日金曜日

第10回 PCCP Prize受賞報告

この度、国王立化学会(イギリス化学会)が主催とし、日本化学会が合同で表彰している第10回PCCP賞を頂くことになりました。
本賞の受賞内容は学部時代とポスドク時代にご指導を頂いた教授方や先輩方から学んだ知識と経験を、助教着任後に現在のご指導を頂いている教授の下でうまく生かす機会を与えられて花開いた研究成果です。
このような1つの研究成果での受賞ではなく複数の研究成果を対象とする賞を頂くと、学部時代から助教時代までの研究は有機的に繋がっていて何一つ無駄なことはなかったなと感じました。
また、私が過去習得した研究能力を次の研究に生かすような手助けをしてくれた教授の研究構想能力は私一人では到底辿り着けない素晴らしいアイディアでした。
大変名誉な賞を頂くことができたのはこれまでご指導していただいた教授方、先輩方のおかげであり、この場をお借り致しましてお礼申し上げます。


第10回 PCCP Prize受賞


伊藤良一

2016年1月25日月曜日

さきがけ成果の特許申請

通常、科研費などの研究費で得られた研究成果は学会発表や論文発表をして年度末に成果報告を行うのですが、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)から頂いてる研究費を使っている場合は科研費などとは研究成果報告のプロセスが異なります。JSTからのプロジェクト研究では、論文発表をする前にまず特許申請を先に済ますのが大前提になっています。これは論文発表を先にしてしまうと「公知」になってしまい、特許性が失われ特許申請が出来なくなるからです。また、JSTは税金で行われた研究成果はきちんと社会に還元するという方針に則ってるからでもあります。

私も2015年10月から開始したJST-さきがけ「エネルギーキャリア」研究領域の成果がまとまりつつあるので論文発表の前に特許出願準備を行っています。特許出願は大学の知財部門と弁理士(有料)の力を借りますが、研究者個人が色々がやらなければならず、不慣れなルールと日本語で書かれているのに何が書いているかよくわからない書類の山です。税金でまかなわれている研究費を適切に運用することは研究以外の責任が増え、社会的責任を果たすために忙しくなるのだなと感じる日々でした。

伊藤良一

2016年1月14日木曜日

学術賞初挑戦

東北の財団から学術賞の2次選考の通知が来ましたので正月明け早々に面接に行ってきました。会場に入ると偉い役職の方々がコの字で待ち構えておりました。今回、企業の審査員の前での初発表で緊張するかと思えば、全く緊張せずとても良い状態で面接に望むことが出来ました。さきがけ面接はこんなに緊張したのはいつ以来だろうと思うくらい緊張しましたが、30代前半で一番大きな予算をもらえるさきがけ面接を潜り抜ければ怖いものなしということでしょうか。発表内容も質問内容も学術というよりも企業よりな内容、実用性、コスト、本当に商品化できるのかなど新鮮な面接となりました。審査していただいた役員の方々には貴重なお時間を頂き、良い勉強をさせていただきました!結果は2月に通知されるとのことで楽しみです。


伊藤良一

2016年1月1日金曜日

論文紹介:酸化還元した3次元グラフェンを用いた高感度光検出器

 今回、東北大学東北大学原子分子材料科学高等研究機構 (AIMR)で研究を進めている3次元ナノ多孔質グラフェンを用いて光検出センサーに使用可能な多孔質炭素材料の開発に成功しました。
 光に応答して電気を流す炭素材料は安価で環境にやさしい光検出のセンサーとして活用することが可能です。例えば、照度センサーでは光の明るさを電流の値として読み込むことによって自動的に照明の明るさを変更する用途で使用されています。本研究は、厚さのある3次元多孔質グラフェンを光検出部として使用することで、従来の2次元グラフェンの光吸収率と較べて10倍以上向上させることに成功しました。さらにその高い光吸収効率によってシリコン光検出器の10倍程度の感度を持たせることに成功しました。これは従来の光検出用2次元グラフェンは化学処理の過程で1枚のシート形状から細切れの破片になってしまうために、破片間を電子が飛びながら移動している為エネルギー効率が悪く、本来持っている性能を十分に発揮できないという問題点がありました。今回1枚に連続した3次元構造を保持し、かつ、多孔質構造による効率的な光吸収が可能な3次元ナノ多孔質酸化還元グラフェンを用いることによって電子がスムーズに移動することが可能になり、また、多孔質構造を持っていることから光の捕集能力そのものも炭素原子1個分の厚さしか持たない1枚のグラフェンに較べて格段に上昇し、その結果、光応答感度が劇的に上昇したと考えられます。この感度の向上により更なる装置の小型化が期待されます。


図(a) 酸化前の黒いナノ多孔質グラフェン、酸化後の白いナノ多孔質グラフェン(GO)、および、還元した酸化したナノ多孔質グラフェン(RGO)と走行型電子顕微鏡像. ナノ多孔質グラフェンの厚さは30μm. (b) 酸化グラフェンの透過型電子顕微鏡像. (c) 透過型電子顕微鏡高分解像. (d) 酸化グラフェンの炭素と酸素のサブナノメートル元素マッピング. (e) 電子エネルギー損失分光スペクトルによる炭素結合の状態分析結果.酸化により炭素2重結合を失い、還元により一部炭素2重結合が復活している様子を示している.


論文は・・・残念ながら有料公開です。
タイトル
3D Bicontinuous Nanoporous Reduced Graphene Oxide for Highly Sensitive Photodetectors


伊藤良一