次世代型革新高出力蓄電池
「金属触媒フリーリチウム空気電池」の開発

伊藤 良一
(東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR) 助教、現在、筑波大学 数理物質系 准教授

2023年12月20日水曜日

第20回日本学術振興会賞内定

これまでの研究活動を評価され、大変栄誉ある日本学術振興会賞の内定を頂くことができました。本受賞は、東工大の学生時代、マックスプランク研究所のポスドク時代、東北大の助教時代、そして、筑波大の准教授時代の間に関わった全ての先生のご指導ご鞭撻、また、助けてくれた先輩や同僚のおかげです。日本学術振興会から経済的サポート(学振)を頂き、良い縁に恵まれ、研究に邁進することができました。将来の更なる研究の発展に期待されていることを自覚し、世界をリードできる研究者になれるよう努力を続けていきたいと思います。

日本学術振興会賞
創造性に富み優れた研究能力を有する若手研究者を見出し、早い段階から顕彰することで、その研究意欲を高め、研究の発展を支援することにより、我が国の学術研究の水準を世界のトップレベルにおいて発展させることを目的とした賞です。

日本学術振興会賞詳細


伊藤良一

2023年12月13日水曜日

海水から水素を製造する高耐久性卑金属合金電極の開発

修士1年生の塩川史也君が担当した海水電解用高エントロピー合金アノードの論文が出版され、プレスリリースされました。
な 我々人類が利用可能な淡水は、地球上の0.01%(10万km3)しかないといわれています。クリーンな水素製造が可能な水電解法は大量の淡水が必要とされ、地球上の水97%を占める海水は直接使用できません。そこで本研究は、豊富な純水がない地域では水電解できないという制約を取り払うために、海に面している砂漠などでも使用できるよう、海水から直接水素製造可能な貴金属を使用しない高耐久電極開発を行いました。

プレスリリース 海水から水素を製造する高耐久性卑金属合金電極の開発

原著論文
All-Solid-State Mg–Air Battery Enhanced with Free-Standing N-Doped 3D Nanoporous Graphene


伊藤良一

2023年12月11日月曜日

日経新聞「筑波大学、高性能・実用的なマグネシウム空気電池を開発」

日本経済新聞社から取材を受け、本研究室のマグネシウム空気電池の記事が12月11日付で電子版に掲載されました。紙面は12月12日の朝刊となっています。
今後は、貴金属を使用しない、充電可能な高性能マグネシウム空気電池の開発を目指していきます。

日本経済新聞社サイト
筑波大学、高性能・実用的なマグネシウム空気電池を開発


伊藤良一

2023年12月4日月曜日

HESS誌 再生可能エネルギーを直接利用する水電解技術: 再生可能エネルギーの電力変動が電解槽の耐久性に及ぼす影響

一般社団法人 水素エネルギー協会「水素エネルギーシステム」に研究論文として投稿した「再生可能エネルギーを直接利用する水電解技術:再生可能エネルギーの電力変動が電解槽の耐久性に及ぼす影響」論文がオープンアクセスになりました。こちらからダウンロードできます。HESSから許諾を受けて配布しております。

内容は、2022年までに出版された学術論文の中で再エネ変動電力を扱ったデータをまとめ、太陽光や風力発電を束ねたときのならし効果や再エネによる性能劣化に関した内容ををまとめた論文になります。

本論文はこちらの論文の日本語訳に加えて、日本用に一部内容をローカライズしています。
タイトル
Influence of renewable energy power fluctuations on water electrolysis for green hydrogen production(グリーン水素製造のための水電解における再生可能エネルギー出力変動の影響)
著者
小島 宏一(産業技術総合研究所)、長澤 兼作(横浜国立大学)、轟 直人(東北大学)、伊藤 良一(筑波大学)、松井 敏明(京都大学)、中島 良(テクノ2050中島技術士事務所・TMFアドバイザー)


伊藤良一

2023年10月17日火曜日

マグネシウム空気1次電池電池

今回、新しい研究として金属空気電池プロジェクトを立ち上げ、その第一弾としてマグネシウム空気一次電池電池に挑戦しました。正極として、窒素元素を化学ドープした多孔質グラフェンを開発し、負極に市販のマグネシウム、そして、ポリアクリル酸ナトリウムゲルに食塩水を浸み込ませた固体電解質を用いた、マグネシウム空気一次電池を作製しました。性能試験の結果、白金を正極に使用した場合と同等以上の電池性能を示しました。詳細はプレスリリースをご覧ください。次は、マグネシウム空気二次電池へ挑戦する予定です。

プレスリリース

原著論文
All-Solid-State Mg–Air Battery Enhanced with Free-Standing N-Doped 3D Nanoporous Graphene


伊藤良一

2023年9月13日水曜日

メタノール型直接燃料電池用クロスオーバー抑制隔膜研究

カーボンニュートラルの実現に向けて、メタノールやギ酸を合成燃料として電力を取り出す、直接メタノール/ギ酸型燃料電池技術の開発需要が高まっています。これらは、プロトン移動を介した発電を行いますが、従来のプロトン交換膜では、燃料分子自身も電極間を移動して不必要に酸化され、電極触媒を失活させてしまう「クロスオーバー現象」が問題となっていました。本研究では、プロトン交換膜として、グラフェンシートに5~10 nmの穴を空け、かつスルホ基を有するスルファニル官能基で穴周辺を化学修飾してかさ高くしたものを新たに開発し、高いプロトン伝導度を維持しつつ、メタノールやギ酸分子の通過を妨げ、クロスオーバー現象を抑制することに世界で初めて成功しました。
詳細はこちら「グラフェンを用いて燃料分子の効果的なふるい分けに成功」です。

本論文は、オープンアクセスなので無料で購読が可能です。

Suppression of Methanol and Formate Crossover through Sulfanilic-functionalized Holey Graphene as Proton Exchange Membranes
プロトン交換膜としてスルファニル修飾穴付きグラフェンを用いたメタノールとギ酸クロスオーバーの抑制


伊藤良一

2023年7月26日水曜日

専攻イベント

筑波大学数理物質系物理工学域と物質工学域の先生方で4年ぶりとなる合同暑気払いを行いました。持ち回りの幹事を務めさせていただきました。場所は筑波大学の学内施設である野性の森というところです。当日は雨が降らず、皆さんに楽しんでいただけたようで良かったです。


伊藤良一

2023年7月15日土曜日

産総研福島再生可能エネルギー研究所FREA 訪問

トヨタモビリティ基金水電解WGの研究チームは、水電解システムに対する再エネ出力変動の影響に関する文献調査で得た情報を基に、国立研究開発法人産業技術総合研究所の協力により設置した、実用レベルの水電解装置を用いた研究を開始しました。水電解装置の実機を用いて再エネ電力の変動による挙動や性能劣化、耐久性への影響を調査した研究はこれまで公開された例が少なく、水電解の性能向上・コスト低減に向けた課題解決に資する成果が期待されます。(原文はこちら
という活動をしていまして、産総研福島再生可能エネルギー研究所(FREA)に進捗報告会と設置された水電解装置を見学しに行ってきました。授業でいつもリモート会議参加でしたが、今回ついに参加し現物を見ることができました。今後は、水電解装置を本格稼働させ、実機を使った水電解データの取得を行っていく予定です。

敷地内に太陽光パネルと風車

水電解装置

研究者と事務局での集合写真


伊藤良一

2023年6月10日土曜日

研究室体験配属

筑波大学応用理工学部1年生向けに研究室体験配属が開催されました。鈴木康礼君と徳地一真君にご参加いただきました。他大学からの研究室見学も個別に受け付けています。本研究室所属希望の学生は気軽に問い合わせください。




伊藤良一

2023年3月29日水曜日

筑波大学応用理工スプリングスクール2023

筑波大学応用理工スプリングスクール2023が開催されました。応用理工学類では、春と夏の2回、このような体験実習を各研究室で実施していましたが、コロナ禍後、初めての対面実施となりました。本研究室は、② 水素を作ってみよう~水の電気分解~、を担当しました。遠方から来られたとのことで、ありがとうございました。今回参加できなかった方も、またこのような機会があると思いますのでご参加ください。

広瀬拓未君と、修士1年生の塩川史也君

佐々木遥香さんと、修士1年生の末吉隼君

水の電気分解の装置を操作する佐々木遥香さん

集合写真


伊藤良一

2023年3月10日金曜日

商業誌「化学」に「窒素ドープ3Dグラフェン」の解説記事が掲載

商業誌「化学」の特集に本研究「窒素ドープ3Dグラフェン-触媒活性な局在電子と電荷輸送を担う金属チャネルの共存状態の発見」の記事が掲載されました。書店に並んでいます。

伊藤良一

読売新聞に水の電気分解の記事が掲載されました

読売新聞の230310朝刊科学面19ページ(関西、中四国限定)に高エントロピー合金を使用した水電解の記事が掲載されました。
カーボンニュートラルに向けた内容が掲載されています。
伊藤良一

2023年2月22日水曜日

新しい実験室をもらいました

ゼロCO2エミッション機能性材料開発研究センターに新しい実験室を頂くことになりました。
環境整備等これからです。
主に実用に近い研究や企業との共同研究に使用する予定です。
広すぎてまだまだ物が置けるとてもありがたい状態です。


伊藤良一

2023年2月1日水曜日

触媒学会誌の特集「炭素が関わる触媒機能」に記事掲載

触媒学会誌の特集に本研究「グラフェンで被膜した卑金属によるPEM水電解槽用電極の開発」の記事が掲載されました。残念ながら会員のみダウンロード可能でした。

伊藤良一