今回、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業の一環として、東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の陳研究室から私が開発しているナノ多孔質グラフェンを使った高性能なリチウム空気電池の開発に成功しました。現在の電気自動車に使われているリチウムイオン電池の電気容量では、200 km程度しか走行できず、ガソリン車並に走行距離を伸ばすために新しいタイプの大容量の蓄電池の開発が望まれています。次世代電池は液漏れしない安全な全固体電池と確実視されていますが、このリチウム空気電池は全固体電池のさらに次の世代の革新的電池と期待されている一つの蓄電池であり、理論的な走行距離は500-1000 kmといわれています。本論文は1回の充電で500-600 km走行でき、かつ、100回以上充電できるプロトタイプ電池を報告したものであり、現在発表されているリチウム空気電池の中では世界最高レベルの性能です。まだまだ基礎的な課題が多く実用化には10年くらいの期間を要すると予想されていますが、今後は企業と連携しながら実用化に向けた更なる基礎研究の完成を目指していきます。
詳細はこちらのプレスリリースに記載されています。
図1 リチウム空気電池とその予想されている反応メカニズム
(a) リチウム空気電池の動作原理。
(b) コイン型電池を用いた実物大のリチウム空気電池の写真。
(c) ナノ多孔質グラフェン電極上の化学反応の様子と表面で行われているとされる化学反応式。
論文は・・・残念ながら有料公開です。
タイトル
3D Nanoporous Nitrogen-Doped Graphene with Encapsulated RuO2 Nanoparticles for Li–O2 Battery
雑誌のサイト
伊藤良一


次世代型革新高出力蓄電池
「金属触媒フリーリチウム空気電池」の開発
伊藤 良一
(東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR) 助教、現在、筑波大学 数理物質系 准教授)
「金属触媒フリーリチウム空気電池」の開発
伊藤 良一
(東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR) 助教、現在、筑波大学 数理物質系 准教授)
2015年9月5日土曜日
2015年9月4日金曜日
やさしい科学セミナー開催@東北大学WPI-AIMR
9月2日に東北大学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)にてやさしい科学セミナーを開催いたしました。対象は宮城県仙台第一高等学校の化学部と物理部の高校生合計20名でした。宮城県のトップランクの高校、かつ、化学部と物理部所属ということもあって講義の内容に踏み込んだ鋭い質問が多く、非常に利発で将来に期待が持てる有望な学生達でした。今回のセミナーは山田道夫先生(2015年度採択)のアンケートの結果にある「分断されている教科(例えば数学、物理、化学)が大学進学後どのように繋がっていくのか」を意識して準備を進めました。本セミナーを通じて少しでも科学の面白さを伝えられて大学院で行われている先端研究に興味を持って頂けたら幸いです。定員オーバーで参加できなかった方もYoutubeで少しでも最先端研究の一端に触れていただければと思います。また、このような科学セミナーを通じて日本の将来を担う若い世代に、研究職や大学進学への動機や活力になれば嬉しいです。
内容については理解をしてもらうことを優先にかなり噛み砕いて説明しましたので突っ込みどころがありますが、Youtubeのほうを見ていただくと今回のセミナーの様子がわかると思います。また、セミナーの写真をいくつか掲載しておきます。

講義中の写真


実験中の写真

宮城県仙台第一高等学校の化学部と物理部の高校生達との集合写真
今回は実験補助スタッフとして
東北大学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR) 藤田武志准教授
東北大学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR) 杉山一生特別研究員(PD)
東北大学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR) 韓久慧(Jiuhui Han)東北大学総長特別奨学生(博士課程)
のサポートを受けて開催されました。
最後に、お忙しい中来ていただいた一高生の皆様、準備を手伝ってくださった顧問の先生、AIMRアウトリーチの皆様、国際科学技術財団皆様ありがとうございました!
そして宣伝ですが、東北大学オープンキャンパス片平祭りでも同じようなデモンストレーションを行います。今回機会を逃した方、興味が出た方、是非片平祭りではWPI-AIMRの研究所に見学に来てください。
伊藤良一
内容については理解をしてもらうことを優先にかなり噛み砕いて説明しましたので突っ込みどころがありますが、Youtubeのほうを見ていただくと今回のセミナーの様子がわかると思います。また、セミナーの写真をいくつか掲載しておきます。
講義中の写真
実験中の写真

宮城県仙台第一高等学校の化学部と物理部の高校生達との集合写真
今回は実験補助スタッフとして
東北大学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR) 藤田武志准教授
東北大学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR) 杉山一生特別研究員(PD)
東北大学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR) 韓久慧(Jiuhui Han)東北大学総長特別奨学生(博士課程)
のサポートを受けて開催されました。
最後に、お忙しい中来ていただいた一高生の皆様、準備を手伝ってくださった顧問の先生、AIMRアウトリーチの皆様、国際科学技術財団皆様ありがとうございました!
そして宣伝ですが、東北大学オープンキャンパス片平祭りでも同じようなデモンストレーションを行います。今回機会を逃した方、興味が出た方、是非片平祭りではWPI-AIMRの研究所に見学に来てください。
伊藤良一
2015年8月22日土曜日
東大准教授初面接
8月お盆明けに東大の独立准教授の面接に行ってきました。助教の面接は3回ほど受けたことがありましたが、准教授レベルの面接は今回が初めてでした。今までの研究の集大成の発表でしたが、色々な研究テーマに手を出してるのでメインで押す内容以外ばっさり削りました。学生時代や助教面接時代と違って業績も増えているのでまとめるのが大変だと痛感し、学生時代のように教授がチェックしてくれるわけもなく独立とはこういうものなんだなと思いながら準備をしていました。そして、肝心の面接の中身ですがあまりうまくプレゼンが出来ませんでした。理由はおそらく明白で、私が感じ取った限りでは教授陣は独立研究室を持つには経験が足りてない&独立には何が必要なのかがわかっていないという印象を強く与えるプレゼンだったのかなと。質問に明確に回答できないことからも自分でも指導する側に立つのは早いなと感じました。東京→仙台の新幹線の中でこういえばよかった、ここは説明が足りてなかったなと反省しつつ、そういえば助教面接時代シンガポールから2回、ドイツから1回、面接のためだけに日本に戻ってきてとんぼ返りをしたのを思い出しながら、次回の面接に生かせる良い勉強の機会を東大の教授陣に頂けた非常に有意義な時間となりました。
目指せ今年度中の転出!(WPIがなくなる前に・・・)結果は1ヵ月後?さきがけ1期の結果とほぼ同時期になるかもしれません。
伊藤良一
目指せ今年度中の転出!(WPIがなくなる前に・・・)結果は1ヵ月後?さきがけ1期の結果とほぼ同時期になるかもしれません。
伊藤良一
2015年8月19日水曜日
2015年7月23日木曜日
さきがけ初面接
科学技術振興機(JST)のプロジェクトであるさきがけ「再生可能エネルギーからのエネルギーキャリアの製造とその利用のための革新的基盤技術の創出」の面接に呼ばれましたので面談に望みました。詳しい内容は伏せますが、面接は無事に終わりました。堂々と発表し、鋭い質問を沢山頂き、自信を持って回答し、首を傾げられました。色々反省点が見え、大変勉強になりました。時間を割いて頂いた総括とアドバイザーの先生方には感謝いたします。今後の面接に生かせそうです。結果は2ヵ月後!
再生可能エネルギーからのエネルギーキャリアの製造とその利用のための革新的基盤技術の創出
伊藤良一
再生可能エネルギーからのエネルギーキャリアの製造とその利用のための革新的基盤技術の創出
伊藤良一
2015年6月17日水曜日
論文紹介:太陽光を活用した高効率水蒸気発生
今回、私が所属している東北大学東北大学原子分子材料科学高等研究機構 (AIMR)の融合研究グラフェンチームを中心として研究を行っていた多孔質グラフェンを用いて太陽光を吸収して高効率に水蒸気を発生させられる多孔質炭素材料の開発に成功しました。
太陽光は無尽蔵に生み出される最もクリーンなエネルギー源として古くから活用されており、様々な分野で活用されています。近年、太陽光を直接電気エネルギーに変換する太陽電池の研究・実用化が精力的に進められています。しかしながら、この場合の太陽光エネルギーの利用効率(注1)は特殊な場合を除いて20~30%台であり、また、太陽光発電には多額の設備費・維持費がかかり、現段階では太陽光を有効に活用しているとは言い難い状況です。一方、太陽熱温水器やヒートポンプ等の太陽光を熱エネルギーとして活用する方法や太陽光を集光することで媒体を高温に加熱して発電に使用する太陽熱発電する方法があります。特に、太陽熱温水器はほぼ吸収した太陽光エネルギーをほぼ100%熱エネルギーに変換できることから、電気エネルギーを生み出す太陽電池と比べて用途は狭いですが、太陽光を熱に変換することでお風呂の湯沸しなどに使用する電気エネルギーを間接的に減らすことが可能となります。このように太陽熱利用は身近で手軽かつ非常に高効率太陽光利用の選択肢の一つとなりえます。
本研究は、3次元多孔質グラフェンを太陽熱温水器の集光材料に使用することで、太陽光の熱エネルギーを効率よく吸収し、さらにその熱エネルギーが局所的に集中することで、水を一気に加熱し水蒸気を発生させることに成功しました。太陽光で加熱された水は比重差による対流現象や熱伝導によって熱が拡散するため、温度が均一化に向う結果、熱水は保持されません。しかし、本研究に用いた3次元構造を有する多孔質グラフェンでは、そのミクロサイズの孔内に捕らわれた水が熱が拡散することなく集中的に加熱されて容易に高温化できることから、水蒸気への変換効率を従来の56%(グラファイト粉を用いた材料)から80%に高めることに成功しました。
図.ナノ多孔質グラフェンの模型とその水蒸気発生。
(a)太陽光を吸収して局所加熱された水が水蒸気となり放出される概念図。
(b)実際に使われているナノ多孔質グラフェンの実物写真。
(c)ナノ多孔質グラフェンの表面のSEM像。
(d)ナノ多孔質グラフェンの側面のSEM像。
(e)実際に集光した太陽光を用いて発生した水蒸気の写真。
3次元多孔質グラフェンを用いた本研究成果は、太陽光エネルギーを水蒸気発生のための熱エネルギーに高効率変換する手軽で、かつ、コストあたりの得られるエネルギー(cost-effective)な方法を提供できる可能性が示されました。環境負荷が高い従来の金属性集光機を使用せず、また定積モル比熱が一番低い炭素を使うことで環境負荷を軽減するだけでなく、集光機自体を加熱するための熱量も小さいことから熱の無駄を小さくできる可能性があります。
本研究が理想的に完成した場合は、本材料と無尽蔵にある太陽光を用いて「水の浄化」に使うことが可能になると期待されます。水の浄化が必要とされている例として、下水の純水と汚泥の分離があります。近年の地方都市発展に伴う下水処理場能力超過とそれに伴う環境負荷が問題になりつつあり、下水処理場を増やすのではなく現在ある処理場の処理能力を向上させて対応することが一つの解決策になるのではないかと考えられます。通常、汚泥を分離するには膨大な下水を大きな貯水池に何日も貯めておくことが必要とされます。そこで、貯水池に下水を貯めている間に本材料と太陽光を用いて下水を効率よく蒸発させられれば、純水と汚泥の分離を促進でき、かつ、下水が処理に必要な分量の減少(濃縮)と同時に純水(工業用水)も確保できると私は考えています。また、下水処理施設が「河川を汚染しない程度の下水処理を施す施設から、下水から純水を生成できる施設」に変わり、下水処理施設の存在意義そのものが大きく転換されるかもしれません。このような身近でかつ経済活動に密接に繋がっている水の浄化技術は、地方都市の下水処理場不足と工業用水不足解消への同時貢献ができるのではないかと夢が膨らみます。 今後は、太陽光利用拡大を目指してナノ多孔質グラフェンの大量生産の手法開発が可能な企業と連携して水の浄化について模索したいと考えています。
プレスリリース(国立研究開発法人科学技術振興機構、JST)
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150617/index.html
論文は・・・残念ながら有料公開です。
タイトル
Multi-functional nanoporous graphene for high-efficiency steam generation by heat localization (多機能化されたナノ多孔質グラフェンを用いて局所加熱手法を利用した高効率水蒸気発生)
用語説明 (注1)エネルギー利用効率
太陽光が持つエネルギーがどれくらい電気エネルギーや水蒸気発生エネルギーに変換されたかを示す効率。例えば、太陽電池は20%のエネルギー効率なので残り80%は使用されていない。
伊藤良一
太陽光は無尽蔵に生み出される最もクリーンなエネルギー源として古くから活用されており、様々な分野で活用されています。近年、太陽光を直接電気エネルギーに変換する太陽電池の研究・実用化が精力的に進められています。しかしながら、この場合の太陽光エネルギーの利用効率(注1)は特殊な場合を除いて20~30%台であり、また、太陽光発電には多額の設備費・維持費がかかり、現段階では太陽光を有効に活用しているとは言い難い状況です。一方、太陽熱温水器やヒートポンプ等の太陽光を熱エネルギーとして活用する方法や太陽光を集光することで媒体を高温に加熱して発電に使用する太陽熱発電する方法があります。特に、太陽熱温水器はほぼ吸収した太陽光エネルギーをほぼ100%熱エネルギーに変換できることから、電気エネルギーを生み出す太陽電池と比べて用途は狭いですが、太陽光を熱に変換することでお風呂の湯沸しなどに使用する電気エネルギーを間接的に減らすことが可能となります。このように太陽熱利用は身近で手軽かつ非常に高効率太陽光利用の選択肢の一つとなりえます。
本研究は、3次元多孔質グラフェンを太陽熱温水器の集光材料に使用することで、太陽光の熱エネルギーを効率よく吸収し、さらにその熱エネルギーが局所的に集中することで、水を一気に加熱し水蒸気を発生させることに成功しました。太陽光で加熱された水は比重差による対流現象や熱伝導によって熱が拡散するため、温度が均一化に向う結果、熱水は保持されません。しかし、本研究に用いた3次元構造を有する多孔質グラフェンでは、そのミクロサイズの孔内に捕らわれた水が熱が拡散することなく集中的に加熱されて容易に高温化できることから、水蒸気への変換効率を従来の56%(グラファイト粉を用いた材料)から80%に高めることに成功しました。

図.ナノ多孔質グラフェンの模型とその水蒸気発生。
(a)太陽光を吸収して局所加熱された水が水蒸気となり放出される概念図。
(b)実際に使われているナノ多孔質グラフェンの実物写真。
(c)ナノ多孔質グラフェンの表面のSEM像。
(d)ナノ多孔質グラフェンの側面のSEM像。
(e)実際に集光した太陽光を用いて発生した水蒸気の写真。
3次元多孔質グラフェンを用いた本研究成果は、太陽光エネルギーを水蒸気発生のための熱エネルギーに高効率変換する手軽で、かつ、コストあたりの得られるエネルギー(cost-effective)な方法を提供できる可能性が示されました。環境負荷が高い従来の金属性集光機を使用せず、また定積モル比熱が一番低い炭素を使うことで環境負荷を軽減するだけでなく、集光機自体を加熱するための熱量も小さいことから熱の無駄を小さくできる可能性があります。
本研究が理想的に完成した場合は、本材料と無尽蔵にある太陽光を用いて「水の浄化」に使うことが可能になると期待されます。水の浄化が必要とされている例として、下水の純水と汚泥の分離があります。近年の地方都市発展に伴う下水処理場能力超過とそれに伴う環境負荷が問題になりつつあり、下水処理場を増やすのではなく現在ある処理場の処理能力を向上させて対応することが一つの解決策になるのではないかと考えられます。通常、汚泥を分離するには膨大な下水を大きな貯水池に何日も貯めておくことが必要とされます。そこで、貯水池に下水を貯めている間に本材料と太陽光を用いて下水を効率よく蒸発させられれば、純水と汚泥の分離を促進でき、かつ、下水が処理に必要な分量の減少(濃縮)と同時に純水(工業用水)も確保できると私は考えています。また、下水処理施設が「河川を汚染しない程度の下水処理を施す施設から、下水から純水を生成できる施設」に変わり、下水処理施設の存在意義そのものが大きく転換されるかもしれません。このような身近でかつ経済活動に密接に繋がっている水の浄化技術は、地方都市の下水処理場不足と工業用水不足解消への同時貢献ができるのではないかと夢が膨らみます。 今後は、太陽光利用拡大を目指してナノ多孔質グラフェンの大量生産の手法開発が可能な企業と連携して水の浄化について模索したいと考えています。
プレスリリース(国立研究開発法人科学技術振興機構、JST)
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150617/index.html
論文は・・・残念ながら有料公開です。
タイトル
Multi-functional nanoporous graphene for high-efficiency steam generation by heat localization (多機能化されたナノ多孔質グラフェンを用いて局所加熱手法を利用した高効率水蒸気発生)
用語説明 (注1)エネルギー利用効率
太陽光が持つエネルギーがどれくらい電気エネルギーや水蒸気発生エネルギーに変換されたかを示す効率。例えば、太陽電池は20%のエネルギー効率なので残り80%は使用されていない。
伊藤良一
2015年6月13日土曜日
論文紹介:熱分解を利用した大量に作成できるグラフェン構造を持つ炭素
今回、ドイツの世界的有名なMax-Planck-Institut für Polymerforschung(マックスプランク研究所)のディレクターであるKlaus Müllen教授の元で研究を行った研究成果がアメリカ科学雑誌Journal of the American Chemical Society (JACS)に掲載されました。Muellen教授は世界トップ100の化学者に選出されているほど著名であり、グラフェン/グラファイト研究の第一人者といえるほど有名な論文をいくつも世に送り出し続けています。このたび掲載が決まったこの科学誌では世界トップ3にランクされる化学系総合雑誌であり、Muellen教授の指導の下で私が研究を行った最後の仕事(論文)となります。ドイツ留学時代では様々なことをMuellen教授から学び、そして、今に繋がっていると思うと、論文が世に出たという嬉しい反面とても寂しい気持ちです。
肝心の論文の中身ですが至ってシンプルです。グラフェン/グラファイトの構造はベンゼン環がいくつも連結している構造であることに注目すると、図1のようなベンゼン骨格を持つ分子を混ぜて加熱すればグラフェン/グラファイトが簡単にできるのではないかと考えて行われた研究です。大学1年生の化学で習う基礎知識ですが、ベンゼンは共鳴構造をいくつも取りうる形をしおり共鳴安定化しているため、その構造はエネルギー的に安定です。このため、ベンゼンをいくら加熱してもグラフェン/グラファイト構造にはなれません(正確にはなりにくい)。したがって、ベンゼンに官能基を導入して反応性を高める必要が生じました。そこで本研究はベンゼンの6本の手全てを塩素で置換し銅を反応材として加熱をすることでこの問題を克服し、大量のグラフェン/グラファイト構造の作製に成功しました。また、ベンゼンの代わりにピリジンを塩素で置換することで同様に窒素が導入されたグラフェン/グラファイト構造の作製にも成功しました。このように混ぜて加熱するだけで大量のグラフェン/グラファイト構造を持つ材料開発は商品化する際に障害となる大量合成の問題を克服できる一つの手法であるといえます。本グラフェンの構造を有する炭素は触媒や電池などエネルギー分野で使うことが可能です。
論文は・・・残念ながら有料公開です。
タイトル
Tuning the Magnetic Properties of Carbon by Nitrogen Doping of Its Graphene Domains
雑誌のサイト
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ja512897m
伊藤良一
肝心の論文の中身ですが至ってシンプルです。グラフェン/グラファイトの構造はベンゼン環がいくつも連結している構造であることに注目すると、図1のようなベンゼン骨格を持つ分子を混ぜて加熱すればグラフェン/グラファイトが簡単にできるのではないかと考えて行われた研究です。大学1年生の化学で習う基礎知識ですが、ベンゼンは共鳴構造をいくつも取りうる形をしおり共鳴安定化しているため、その構造はエネルギー的に安定です。このため、ベンゼンをいくら加熱してもグラフェン/グラファイト構造にはなれません(正確にはなりにくい)。したがって、ベンゼンに官能基を導入して反応性を高める必要が生じました。そこで本研究はベンゼンの6本の手全てを塩素で置換し銅を反応材として加熱をすることでこの問題を克服し、大量のグラフェン/グラファイト構造の作製に成功しました。また、ベンゼンの代わりにピリジンを塩素で置換することで同様に窒素が導入されたグラフェン/グラファイト構造の作製にも成功しました。このように混ぜて加熱するだけで大量のグラフェン/グラファイト構造を持つ材料開発は商品化する際に障害となる大量合成の問題を克服できる一つの手法であるといえます。本グラフェンの構造を有する炭素は触媒や電池などエネルギー分野で使うことが可能です。
論文は・・・残念ながら有料公開です。
タイトル
Tuning the Magnetic Properties of Carbon by Nitrogen Doping of Its Graphene Domains
雑誌のサイト
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ja512897m
伊藤良一