金沢大学と大阪大学との共同研究で二酸化炭素を電気化学的に還元する触媒を開発し、その触媒メカニズムの解明を行った論文を発表しました。今回の論文は、二酸化炭素を電気化学的に還元してギ酸を合成するプロセスによく使われる錫触媒に注目しました。錫触媒は自身の触媒性能を向上させるために微粒子化したり銅などと合金化する研究が多く行われています。本研究では触媒そのものではなく触媒を乗せる担体に着目しました。担体は二酸化炭素を吸着しやすいものを選択し、担体から触媒表面へ連続的に二酸化炭素を供給し続けたときの触媒メカニズムがどうなるかの検討を行いました。また、その触媒メカニズムを走行型電気化学顕微鏡を用いて直接明らかにしました。2050年のゼロエミッションに向けて二酸化炭素の排出量削減手法が様々に検討されていますが、本研究は従来の触媒に担体を導入することで触媒反応効率を向上させられる基礎的な知見を見つけた画期的な成果と言えます。
プレスリリース
スズとグラフェンの界面を利用した二酸化炭素を高効率に還元する新しい触媒を開発~二酸化炭素からの化成品合成技術の加速へ~
論文
Acceleration of Electrochemical CO2 Reduction to Formate at the Sn/Reduced Graphene Oxide Interface
伊藤良一